ハンドメイド作品の販売において、多くの場合「材料費」の計算には取り組みますが、見落としがちなのが「自分自身の制作時間」の記録です。
この記事では、制作時間を「人件費」という原価の一部として適切に記録・整理する方法について、開発者の視点から解説します。
この記事で分かること
- 制作時間を原価に含めて記録する3つの意義
- 人件費管理のために記録しておきたい項目
- 記録が崩れやすいタイミング
- 記録を継続するための運用ルール
制作時間を原価に含めて記録する意義
ハンドメイドの原価計算において、人件費は「利益」ではなく「原価」の一部として扱うことが基本です。これを記録・管理することには以下の意義があります。
① 実際の制作コストを正確に把握できる
作品づくりには材料だけでなく、制作者の時間が投じられています。人件費を記録することで、材料費だけでは見えてこない実際の原価を把握できます。
② 価格改定の根拠になる
材料費の高騰や生活環境の変化により、販売価格を見直す場面が訪れます。制作時間の正確な記録があれば、どれくらいの価格に設定すれば活動を維持できるかを、数字に基づいて判断できます。
③ 制作能力の把握に役立つ
1作品あたりの制作時間を知ることは、自分の生産能力を把握することにつながります。月にどれくらいの時間を制作に充てられるかを把握していれば、目標に対して何個制作する必要があるかを試算できます。
制作時間・人件費として記録しておきたい項目
記録を整理する際は、単に「合計時間」をメモするだけでなく、以下の項目に分けて管理すると比較や分析がしやすくなります。
人件費管理の記録項目例
| 記録項目 | 記録する理由 | 算出・整理のポイント |
|---|---|---|
| 工程別制作時間 | どの作業に時間がかかっているか把握するため | 加工、組み立て、梱包など工程を分ける |
| 設定時給 | 人件費を算出する基準にするため | 自分の活動を支えるために必要な額を設定 |
| 時給設定の根拠 | 後から設定意図を振り返るため | 「最低賃金を基準に設定」などのメモを残す |
| 算出された人件費 | 作品1個あたりの原価の一部とするため | 設定時給 × 合計制作時間 |
| 1個あたりの原価 | 適正な販売価格の土台にするため | 材料費+人件費+その他の経費 |
販売価格の全体像についてはハンドメイド作品の原価と販売価格を記録で管理するを、材料費の詳細はハンドメイドの材料費管理で記録しておきたい項目と按分の考え方も参照してください。
記録が崩れやすいタイミング
一度制作時間を計測しても、以下の変化があったときには記録の更新が必要です。
- 制作スピードが変わったとき:作業に慣れてスピードが上がると、1個あたりの人件費は下がります。逆に、より丁寧に仕上げるようになった場合は人件費は上がります
- 工程やデザインが変わったとき:新しい技法を取り入れたり、梱包をより凝ったものに変更したりすると拘束時間が変化し、以前の記録が参考にならなくなります
管理を続けるための運用ルール
記録を継続するための運用方法を定めておくことが有効です。
- 作品ごとに主要な工程の時間を計測する:毎回すべての秒数を測る必要はありませんが、主要な工程ごとに平均して何分かかっているかを定期的に計測し、記録を更新します
- 設定時給を定期的に見直す:自分のスキル向上や活動目標に合わせて、設定している時給が妥当かを見直します
アプリ活用の選択肢
原価帳は、材料を登録して作品の原価を自動計算できるアプリです。作品ごとに「人件費・工賃」と「その他コスト」を材料費とは別の欄に入力でき、原価は「材料費合計+人件費+その他コスト」として算出されます。データはクラウドではなく端末内に保存され、アカウント登録も不要です。無料版は材料50件・作品20件まで利用でき、Pro版は件数が無制限になります。Pro版ではダッシュボード(月次グラフ・年次サマリー・作品別ランキング)・CSVエクスポートも利用できます。Pro版は980円の買い切りです(2026年5月時点)。
もし使ってみた方は、App Storeのレビューに感想を残していただけると嬉しいです。今後の開発の参考にさせていただきます。
まとめ
制作時間を人件費として原価に記録することで、材料費だけでは見えなかった実際のコストを把握できます。工程別の時間計測と設定時給の定期的な見直しを組み合わせることで、根拠のある価格管理が可能になります。
この記事の情報源について
公的機関・公式サイト・専門メディア等の情報をもとに、記録・整理の観点から編集部が再構成しています。
数値・仕様・安全性に関わる記述は一次情報を優先して確認しています。
この記事は、記録・整理の観点から情報をまとめたものです。価格設定や費用管理の判断は、税務・会計の専門家にご確認ください。
内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、お問い合わせよりご連絡ください。
最終確認:2026年5月

