クロスステッチは、完成までに数十時間から数百時間、時には数ヶ月以上の長い時間を要する趣味です。そのため、1つの作品だけに集中して完成させるのではなく、気分や季節、図案の規模に合わせて、複数のプロジェクトを並行して進めるのはよくあることです。
並行して楽しむこと自体は素晴らしいものですが、管理の観点では、並行プロジェクトが増えるほど情報の整理が難しくなります。特に、少し手を休めて置いているだけのプロジェクトを「制作をやめて破棄した」のか「一時的に置いており、いずれ再開する」のかを明確に区別して記録できないと、管理は簡単に破綻してしまいます。
この記事では、複数のプロジェクトを健全に維持するために、どのような状態の分け方が有効か、そしてなぜ「一時停止」を記録として残す価値があるのかについて解説します。
記憶だけでは「今の状態」を把握できなくなる
プロジェクトが2つ3つのうちは、それぞれの状況を頭の中で把握しておくのも難しくありません。しかし、季節ものの小さな作品を思いつきで挟んだり、大作の合間に気分転換のプロジェクトを始めたりしているうちに、手をつけたプロジェクトの数はあっという間に5つ、10個と積み重なっていきます。
こうなると、「これは今も進めているつもりのプロジェクトなのか」「もう半年触っていないけれど、これは辞めたのか、それとも再開する気があるのか」という状態そのものが曖昧になってきます。状態が曖昧なままだと、必要な糸を計算するときにも、すでに手を止めた作品の分まで数え込んでしまったり、逆に本当に必要な糸を見落としたりと、実務的な支障が出始めます。
分けて記録しておきたい4つの状態
この曖昧さを解消するために有効なのが、プロジェクトを次の4つの状態に分けて記録しておくという発想です。紙のノートであれば付箋の色分けで、スプレッドシートであれば1列のステータス欄で、どのような媒体でも応用できる分類です。
- 計画中:まだ実際には刺し始めておらず、図案や布、必要な糸を準備しているだけの段階
- 制作中:実際に手を動かして進めている、現在進行形のプロジェクト
- 一時停止:手は止めているが、いずれ再開するつもりで残しているプロジェクト
- 完成:最後まで刺し終えたプロジェクト
この4つのうち、日常的に一番区別が難しいのが「制作中」と「一時停止」です。この2つを意識的に分けて記録しておくだけで、「今、本当に動いているプロジェクトはどれか」が一目で分かるようになります。
「計画中」と「制作中」をまとめて見るという発想
一方で、日々の管理という視点に立つと、「計画中」と「制作中」を毎回厳密に区別する必要はあまりありません。どちらも「これから手をつける、あるいは今手をつけている、注意を払うべきプロジェクト」という点では同じグループに属するからです。
そのため、一覧を見返すときには、「計画中・制作中をまとめたアクティブなもの」「一時停止しているもの」「完成したもの」という3つの大きな括りで眺められるようにしておくと、細かい区分に振り回されずに「今、目の前で進めるべき作品」に意識を向けやすくなります。これは紙の手帳でも、計画中と制作中のページを同じセクションにまとめておくだけで実践できる考え方です。
一時停止は「失敗」ではないという扱い方
クロスステッチの制作中、別の図案に惹かれてしまったり、季節限定の作品を優先して刺したくなったりして、数ヶ月間触らなくなるプロジェクトが出てくるのは自然なことです。
これを管理の失敗として捉え、プロジェクトの記録ごと消してしまう必要はありません。削除してしまうと、それまで積み重ねた進捗の記録や、途中まで使った糸の情報がすべて失われてしまいます。「一時停止」という状態を、前向きなステータスとして保持し続けることには意味があります。
一時停止中として区別しておけば、今すぐ必要な糸を数えるときにそのプロジェクトの分を除外でき、買い物の計画がクリアに保てます。また、記録さえ残しておけば、半年後や1年後に「またこれを刺したくなった」と思い立った際、どこまで進んでいたか、何を使っていたかを一から思い出す必要がありません。一時停止は、大切なプロジェクトを安全に冬眠させるための状態であり、いつでも安心して寄り道できる余裕をもたらしてくれます。
FlossLogにおけるプロジェクトステータス管理
こうした状態の分け方を、手間なく実践できるように設計したのが、私たちのアプリ「FlossLog」です。編集画面でステータスを毎回手動で選ぶ必要はなく、初めての進捗を記録すれば自動で制作中になり、一時停止・完成・再開はそれぞれのアクションをタップするだけで反映されます。計画中と制作中の作品は一覧上で「Active」としてまとめて表示され、一時停止に切り替えた瞬間、そのプロジェクトの不足糸はショッピングリストから自動的に除外されます。
無料プランでも、プロジェクトの新規追加や進捗タイムライン、ステータス遷移はすべて無制限で利用できます。フロス登録50色までの上限のみが無料枠の制限で、買い切りのProプランへアップグレードすると解除されます。
App Storeでダウンロード: https://apps.apple.com/app/flosslog/id6793844361
まとめ
複数のクロスステッチプロジェクトを並行して楽しむために大切なのは、「やめた」と「少し置いている」を記録として適切に区別し、いつでも安全に再開できる安心感を持っておくことです。今刺すものだけに意識を向けつつ、過去の努力や途中のデータは安全に冬眠させる。そうした状態の分け方を、ノート・スプレッドシート・アプリのいずれであっても取り入れてみてはいかがでしょうか。
より広い記録の全体像については、こちらのハブ記事もご覧ください:クロスステッチの記録と管理:紙・スプレッドシート・アプリの比較から考える最適な方法
この記事の情報源について 公的機関・公式サイト・専門メディア等の情報をもとに、記録・整理の観点から編集部が再構成しています。 数値・仕様・安全性に関わる記述は一次情報を優先して確認しています。
この記事は、記録・整理の観点から情報をまとめたものです。 内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、お問い合わせよりご連絡ください。 最終確認:2026年8月

